(独り言)名脇役の中の名脇役
気ままな競馬ノート » 02)独り言 » (独り言)名脇役の中の名脇役
1998年の新潟大賞典での事である。
当時の新潟大賞典は
NHKマイルカップと同じ日に行われていた。
注目はどうしても府中になってしまう。
新潟大賞典はそのNHKマイルカップよりも15分早くスタートする。
当時のフジテレビ「スーパー競馬」を
録画したビデオテープが手元にある。
新潟大賞典の発走時刻となり、
映像が東京競馬場から新潟競馬場に切り替わる。
新潟大賞典の実況を担当していた
新潟放送(BSN)の杉浦健アナウンサー(当時)の第1声である。
「東京が主役なら、新潟は名脇役が揃いました。
渋いレースを見せましょう。」
新潟大賞典は4歳以上の古馬によるハンデ戦。
顔ぶれを見ると確かにローカルG3のハンデ戦らしい、
一癖も二癖もある顔ぶれが揃っている。
確かに杉浦アナの実況の通り、「名脇役」が集まった。
サイレントハンターが勝ったこのレース、
直線での杉浦アナの実況フレーズである。
「オフサイトトラップだ!!エルコンドルパサーと同じ服色!!」
15分後のNHKマイルカップで
断然の1番人気に支持されていたのはエルコンドルパサーだった。
新潟大賞典で2着に入ったオフサイドトラップは
同じオーナーの所有馬だったのだ。
「名脇役」が集うレースで2着。
しかも裏というか、表というか、
同じ日の東京競馬場でのG1戦では同じオーナーの馬が買ってしまう。
オフサイドトラップには失礼な言い方かもしれないが、
この新潟大賞典以来、
「名脇役の中の名脇役」といったイメージを抱くようになった。
しかしかつては皐月賞や日本ダービーで、
あのナリタブライアンと戦った馬である。
「名脇役」のままで終わる筈がない。
この新潟大賞典の後はエプソムカップで3着に入った後、
七夕賞で重賞初制覇。
そして新潟記念で重賞2連勝。
この2戦ではオフサイドトラップは
間違いなく「主役」だった。
秋も「主役」になることが出来るのか?
新潟記念の次走は天皇賞・秋。
ここでオフサイドトラップはついにG1タイトルを獲得する。
だが「主役」になることが出来たのかというと・・・。
単勝1.2倍に支持されたサイレンススズカがレース中に故障し、
「帰らぬ馬」に。
ゴール板を先頭で駆け抜けたオフサイドトラップの姿ではなく、
途中で戦いからの離脱を余儀なくされたサイレンススズカがいる
4コーナーを見続けていた人が、
あの瞬間の東京競馬場にはたくさんいた。
私もその一人だった。
サイレンススズカにとっては
気の毒な結末になってしまったことは言うまでもない。
だが今振り返ると、
一方で激走の末にG1タイトルを手にしたオフサイドトラップに対しても
申し訳ない想いが残る。
サイレンススズカの他にもメジロブライトやシルクジャスティスなど、
既にG1勝ちを果たしている強豪も走っていたレースである。
このレースで2着に入ったステイゴールドも
G1での好勝負を何度も演じている馬である。
そんな馬たちを相手に、
暑い夏場も休まず走り続けてきた馬が
G1レースで勝ち星を挙げたのだ。
「主役」として祝福してあげるべきだった。
しかし当時、
競馬メディアも、私を含めたファンも、
そんな気分になることは出来なかった。
G1を勝ったのにオフサイドトラップは
「脇役」扱いのままだったような・・・。
「オフサイドトラップ死亡」のニュースを目にした瞬間、
杉浦アナの「名脇役」というフレーズが久しぶりに頭に浮かんだ。
「俺はG1馬だ!!主役だ!!」
とオフサイドトラップは怒っているかもしれない。
でもそんな「名脇役の中の名脇役」的な彼のキャラが、
微笑ましくて私は好きだった。
七夕賞、新潟記念、天皇賞・秋で見せた
あの末脚があれば、
きっと天国の競馬場ではG1を勝って
「主役」となっているに違いない。
mixiチェック
メインサイト「WEEKEND DREAM」はこちら