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(独り言)当たらないという「芸」

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先日、インターネットライブ中継で、
ある地方競馬の模様を見ていた時のことである。
メインレースという事もあって、
地元の競馬専門紙記者による
パドック解説が行われていた。
その記者は断然の1番人気に支持されていた馬ではなく、
別の馬を本命に推していた。
だが、その1番人気馬をパドックでベタ褒めしている。
聞き手のアナウンサーがその記者にこんな問いかけをした。

「どうしてA(1番人気馬)ではなく、
Bが本命なのですか?」

記者は明らかに答えに詰まっていた。
苦笑いしながら、シドロモドロになりつつ、
Bを本命にした言い訳、いや(笑)理由を語り出す。
その説明にならない説明に、
聞き手のアナウンサーが

「馬券面での妙味もありますからね」

とフォロー。
そもそも最初に問いかけた時もそのアナウンサーの口調は
「問い詰める」というよりは「軽くツッコむ」といった様子だった。
その記者も半分からかわれていることはわかっていたに違いない。

このやり取りを聞いて、
「アナウンサーも記者も真面目にやれ」と怒る人もいるだろう。
だが私は微笑ましさを感じた。
競馬予想なんてそんなモンだ、と言ったらお叱りを受けるかもしれない。
だが「そんなモン」という考え方も時には大切かな?
と思うことが時々ある。
私と同世代で、
競馬キャリアがほぼ同じくらいの方なら、
きっと思い出すことがある筈だ。

私が競馬を始めた頃、
テレビの競馬中継や新聞などを見ると
「この人、俺より当たっていないだろう」
と思える評論家や記者がいた事を思い出す。
その人の予想を見ながら
「いい加減な事を言いやがって」と日頃は思いつつも、
たまに予想が一致している時は
何となく嫌な気分になったりして・・・(笑)。
でもその人自身も自分の予想が「当たらない」事は自覚しており、
たまに的中すると
「何か良くないことが起こるかも」
なんて自虐的にコメントしてみたりして、
何となく憎めない。
その人には失礼だが、
「当たらない」ことが立派な「芸」として成立しているようにさえ思えた。

でもそんな「芸」も必要なのではないだろうか?
「競馬」は馬・調教師・騎手による真剣勝負の側面はもちろんある。
でも一方で「楽しいもの」でなければならないだろう。
「当たらない芸」で競馬を見ている人達を楽しませることが出来るのなら、
その人には存在価値が十分にあるだろう。
私自身もそんな「芸」が楽しかった事が、
競馬を今日まで続けてくることが出来た一つの理由となっている。
きっと同様の方は他にも存在するだろう。

少し前に、
ある競馬予想家氏の著書を読んだ。
テレビに登場するその予想家の、
探究心の物凄さに頭が下がる想いを抱きながら読んでいた。
だがその本を読み進めながら感じたことがある。
この人の予想理論を週末の度に実践して馬券を買うのは
大変な手間だろうな、と。
私ぐらいの競馬歴がある人間なら、
そのくらいの手間は我慢しなければならないのかもしれない。
だがこれから競馬を始めようという人が
その理論を実践するのはかなり困難なことであるに違いない。
こうしなければ競馬を楽しむことが出来ないというのならば、
逃げ出してしまう初心者もいるような・・・。
ちなみにその競馬予想家氏だって、
常に当たっている訳ではない。
どんな予想理論だって、
「百発百中」はあり得ない。
当たった一発がデカイから収支がプラスになり、
成立する理論もあるのだろうし。

かつて南関東の競馬場にこんな予想屋がいた。
その予想屋は穴っぽい馬を軸馬にした買い目を提供する時に、

「このレースは馬単で遊んでくれよ!!」

と言いながら、
スタンプを押した紙を手渡ししていた。
もちろんその予想がカスリもしない事もある。
でもその「遊び」が高配当的中に結び付いたこともあった。
そうなのだ。
「遊び」も大切なのだ。

「最近は予想を提供する側も、読む側も、
その予想の当たり外ればかりを気にしすぎる。
もっと違う競馬の魅力を伝えなければ」
と語る評論家やライターが時々存在する。
その「魅力」とはサラブレッドの美しさや走る姿の力強さ、
などといった事を言いたいのかもしれない。
でも「当たらない予想」を「遊ぶ」という
「芸」がもたらす微笑ましさも「魅力」の一つとして
存在してもいいのではないか。
これから競馬を始める人が最初に出会うのは
その「当たらない」ということなのだから。

ちなみに私自身は「当たる」ことも「当たらない」ことも、
「芸」として成立させることが出来ていない。
どちらにしてもまだまだ修行が足りないという自覚は
十分すぎるほど持っているのだけど(笑)。

 

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