2011年4月アーカイブ

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4月24日(日) 東京競馬場

前日の23日(土)、
都内の自宅アパート周辺は激しい雨と風の1日でした。
当日の馬場状態は最終的には
「芝・重、ダート・不良」という状態でした。
しかし翌24日(日)の東京競馬場は快晴。
青い空が広がりました。
1年で最も美しい緑色となる芝コースも
明るく照らされています。
その芝コースは4R終了直後に稍重に、
更に8Rの前には良馬場に発表が変更されました。
前日には水が浮いていたダートコースも
3Rの時点では重馬場となりました。

芝コースのゴール板には
「がんばろう日本!」の表記と
日の丸が掲げられています。
3月11日(金)の東日本大震災以降、
開催が見送られていた関東地区の中央競馬は
この土日の東京競馬より再開されました。
4月12日(火)に川崎競馬が再開された時と同様に、
場内で久しぶりに顔を合わせる競馬仲間と
「地震発生時」についての話をする姿が見られました。

競馬を再開する上で、
JRAも世論や様々な周辺環境に
配慮しなければならない面もあったようです。
大型のターフビジョンは朝8時30分の開門後、
1Rの馬場入場までは映像の放映はありませんでした。
また普段はこの大型のターフビジョン独自のカメラ映像があるのですが、
この日は約3分の1のスペースで
場内のモニターテレビなどと同じ映像を放映。
節電対策だったようです。
この節電対策はスタンド内でも、
随所で目にすることが出来ました。
場内の蛍光灯の照明を一列おきに、
またダウンライトも1個おきにするなどしていて、
普段よりも若干暗い印象を受けました。
また一部のエスカレーターが休止していたり、
場内のモニターテレビも一部使用されていなかったり、
飲料水などの自動販売機の照明が消えていたりと、
「節電」に取り組む姿勢が見られました。

JRAではこの日から「WIN5(5重勝単勝式)」の
発売をスタートしました。
このWIN5について、
競馬ライターの須田鷹雄さんが
新馬券の発売初日だというのに盛り上がっていない点を
憂慮されています。

WIN5(須田鷹雄の日常・非日常)


盛り上がらない理由は色々あると思います。
競馬ファンを含めた世間の雰囲気が「震災後」であるために、
「新馬券誕生」にはしゃいだりする気分にならない点もあるでしょう。
また場内でこの「WIN5」について会話をしている姿を
あまり見かけることはありませんでした。
競馬場内では発売されず、
インターネットのみの発売である点も影響していると思います。
しかし個人的にはもっと大きな要因があるように思えました。
それは、難易度が高過ぎる点にあるのではないでしょうか?

前日23日(土)にグリーンチャンネルで放送されたいくつかの番組内で、
専門紙記者による「WIN5」予想を目にしましたが、
100点、200点を超える買い目が挙げられていました。
前述の須田鷹雄さんはこの初日のWIN5を的中されたそうですが、
やはり108点買われていたとのこと。
多くの人にとって、
競馬で1日に使える金額の限度は
「1万円」なのではないかと思われます。
その「1万円」以上の金額を全てWIN5に投資しないと
WIN5的中は難しいということになるのだとすると、
多くの競馬ファンが参加できる「馬券」には
ならないように思えます。
地方競馬で実施されている「オッズパークLOTO」のように出走頭数が多くなく、
出走馬の力関係がはっきりしている場合は、
ある程度は勝ち馬を絞り込むことも可能ですが、
JRAのように1つのレースに最大で18頭も出走している場合には
勝ち馬を絞り込むのは容易なことではありません。
的中するには「資金力」が必要な馬券と
なってしまっているのではないでしょうか?
多くの人が馬券購入金額を減らしている状況下で、
「資金力」を要求される馬券は
なかなか受け入れられないように思えます。

それでもこの状況を改善するヒントが
この日の東京競馬場にありました。
場内でこのWIN5を仮想体験出来るコーナーが
設けられていました。
的中すると様々な賞品がプレゼントされる形で
実施されていたのですが、
5レース全て的中出来なくても4レース的中した際の「ニアピン賞」や、
3レース的中した場合の賞品なども用意されていました。
つまり馬連や馬単に対するワイドのような位置付けの
馬券設定をすることで、
WIN5の難易度を下げる方法が検討されてもいいのではないでしょうか?
現状の難易度のままでは、
2~3ヶ月後には多くのファンから
その存在を忘れられてしまう馬券になってしまうように思えます。

さて、話題をこの日行われたレースの方に戻しましょう。
この日の東京競馬場は天候が良く、
馬場も回復傾向にあったようですが、
JRA発表ほどの回復ぶりではなかったようです。
10Rにオープン特別のメトロポリタンSが行われましたが、
勝ったケイアイドウソジンの走破タイムは
芝2400メートル2分28秒0と、
オープンクラスとしては平凡なものでした。
1000メートル通過が62秒4と緩い流れではあったのですが、
上がり3ハロン34秒台で上がってきた馬は1頭もいませんでした。
「パンパンの良馬場」ではなかったのでしょう。

そんな中で11Rに皐月賞(G1)が行われました。
東日本大震災の影響で、
今年は例年の中山競馬場から東京競馬場に舞台を変更しての実施です。
場内でも「中山ではなく、府中だから・・・」の声が
あちらこちらで聞かれました。
1番人気は弥生賞を勝ったサダムパテック。
府中でも昨年の東京スポーツ杯2歳Sを勝っています。
2番人気はナカヤマナイト。
同じ府中の共同通信杯を勝っていて、
それ以来の実戦となりました。
3番人気はベルシャザール。
スプリングS2着馬です。
昨年のホープフルSでの好内容が話題となりました。

レースは前走でニュージーランドトロフィーを勝っている
エイシンオスマンがハナに立って引っ張る形となりました。
ベルシャザール、プレイなどが続き、
1000メートル通過は60秒3。
あまり速い流れではありませんでした。
4コーナーから直線に入り、
馬群から抜け出してきたのはオルフェーヴル(4番人気)でした。
そのオルフェーヴルをサダムパテックが追いかけますが、
その差はなかなか詰まりません。
結局、オルフェーヴルが3馬身差をつけてそのままゴール。
サダムパテックは2着。
3着にダノンバラード(8番人気)が入り、
ナカヤマナイトは5着、
ベルシャザールは11着にそれぞれ敗れました。

オルフェーヴルはステイゴールド産駒の3歳牡馬。
2006年の朝日杯フューチュリティS、
2009年の宝塚記念、有馬記念などを制した
ドリームジャーニーの全弟にあたります。
オルフェーヴル自身は前走のスプリングSに続き、
重賞連勝となりました。

オルフェーヴルは
1月にシンザン記念で2着に入っていますが、
当時の3着馬は後の桜花賞馬マルセリーナ。
場内ではこのレースを勝ったレッドデイヴィスについて
「どんなに強い馬なのだろう」という声が聞かれました。
また兄のドリームジャーニーが左回りの府中が苦手であり、
オルフェーヴル自身も昨年の京王杯2歳Sで10着に敗れていることから、
この府中で行われる皐月賞への不安の声が聞かれました。
しかしそれは全くの杞憂だったようです。
左回りの府中が全く問題ないということが判明した以上、
ダービーもこのオルフェーヴルが中心視されることになりそうです。

最終レース終了後、
JRA所属騎手による募金活動が行われました。
募金箱が設置され、
騎手達が一列に並んで募金を終えたファンと握手。
その握手の列には岡部幸雄さんや細江純子さんの姿もありました。
募金の列はメモリアル60を超え、東門の方まで続いていました。
東日本大震災以降、
ようやく関東地区の競馬がようやく再開されたことを喜ぶと共に、
その過程にあった事を騎手もファンも考え、
「出来る事をしなければ」という想いが
正門付近に溢れていたように感じました。

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2011年4月12日(火) 川崎競馬場

この日の朝、
首都圏でも大きな揺れを感じる地震がありました。
東日本大震災から1ヶ月が経ちましたが、
被災地を中心にまだ余震が続いています。
品川駅で乗り換えた京浜急行は、
その余震の影響でダイヤが乱れていました。

川崎競馬場に到着したのは11時30分過ぎでした。

(写真は携帯電話で撮影しています)

開門前の川崎競馬場

京急川崎駅から途中で稲毛神社に立ち寄り、
それから競馬場へ向かったのですが、
角のコンビニエンスストアのあたりから
開門を待つ人達が溢れていました。
3月11日(金)の震災以降、
首都圏では中央競馬も、地方競馬も、
競馬開催はもちろん、
場外発売が行われない状況が続いていました。
待ち遠しかった「競馬」再開に多くの人が駆け付けました。

年配の方を中心に
この川崎競馬場の「常連」とも言える人達同士が
「久しぶりの再会」となるケースもあったようで、
いつもの競馬談議とは別に、
「地震の時、どこで何をしていた」といった会話が
繰り広げられていました。


復興支援競馬の案内

復興支援競馬の案内

場内には「がんばろう日本!」のコピーとともに、
この開催が復興支援競馬として行われることを伝える幕などが
掲げられていました。
売上の一部が被災地に拠出されることも
アナウンスされていました。
 


閉鎖中

閉鎖中

閉鎖中

川崎ドリームビジョンは使用せず

例年なら4月は「スパーキングナイター」のスタートとなる川崎競馬。
しかし震災後の電力事情を考慮して、
昼間開催に変更となりました。
使用するスタンドも1号スタンドの1階、2階の一部と4階のみ。
その他の場所は閉鎖となりました。
昨年ギネス認定を受けた「川崎ドリームビジョン」も映像放映はなく、
大型ビジョンの中央に着順表示のみが行われました。
また競馬番組も川崎競馬の在厩馬中心とし、
出走馬輸送用燃料の節減にも取り組む姿勢を見せています。


1R騎乗合図前

今野忠成騎手会長あいさつ

1Rのパドックでは、
騎乗合図の前に関係者や所属騎手たちが黙祷。
その後、ウイナーズサークルでは、
神奈川県川崎競馬組合古尾谷光男管理者と
今野忠成騎手会長が挨拶。
今野会長は
「競馬を通して我々一人一人に出来るのは、
精一杯のプレーをすること」
と力強く決意を語りました。


田中涼インタビュー

やはり震災後ということで、
この日の場内は重苦しい雰囲気というか、
ピーンと張り詰めた空気に包まれていました。
そんな空気が少しだけ和んだのは
今月デビューの新人騎手・田中涼の紹介セレモニーの時でした。
彼も震災で自分のデビュー戦がどうなるのか、
気がかりであったに違いありません。
そのデビュー戦は本日13日(水)の川崎2Rとなりました。
所属厩舎である川崎・武井榮一厩舎の管理馬、
ヴァイタルジョウに騎乗します。


募金活動

最終レース後には正門横で
南関東所属騎手有志が募金箱を持って一列に。
募金活動の列には「鉄人」佐々木竹見さんの姿もありました。
関係者一人一人が震災後、
こうして競馬を再開することの意味を考え、
行動している様子が感じられました。

この日の場内の様子、騎手や関係者の様子を見ながら、
私はあるキャッチコピーを思い出していました。
それは今から4年前の2007年、
水沢競馬場に大きく掲げられたこのキャッチコピーでした。

「走れる歓びを力に、前へ」

「走れる歓びを力に、前へ」
この写真は2007年4月の岩手競馬開幕時に

撮影したものです。
前月の岩手県議会で岩手県競馬組合への融資案が
紛糾の末にようやく可決。
何とか新年度の開催に漕ぎ着けた岩手競馬関係者たちの
「また競馬が出来る」事への嬉しさと感謝の気持ちが込められたコピーでした。

今回は災害ですから、
当時と事情や背景は異なります。
それでも、その震災では多くの人命が奪われ、
避難所生活を強いられている人も多数という状況下で
「競馬を開催する」ことの意味を考えなければならず、
いつ再開出来るのか、先が見えない時期もあっただけに、
不完全な状態ではありますが「再開」出来たことへの嬉しさは、
馬を走らせる関係者たちにも、
馬券を買うファンの側にもあったように思えます。

東日本大震災をきっかけに
この「歓び」「嬉しさ」を再認識した、という言い方は、
被害に遭われた方々のことを思えば、
少々不謹慎かもしれません。
しかし、その後の岩手競馬の変貌ぶりからも見えてくる通り、
こうした「歓び」「嬉しさ」は時間の経過とともに、
その意識は薄れてしまいます。
それは「競馬」を運営するのが人間である以上、
仕方のないことなのかもしれません。
賞金カットなど取り巻く環境の変化、
広告代理店等によるプロモーション手法の変化、
協賛企業との関係等、
「歓び」「嬉しさ」を変えてしまう要素はたくさんあります。
だからこそ、こうした「再開の日」の記憶を
持ち続けていなければいけないのだと
改めて思いました。

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2011年4月2日(土) 新宿駅周辺

3月11日(金)の東日本大震災以降、
関東地区の競馬は
中央競馬も、南関東公営競馬(大井、川崎、船橋、浦和)も
開催がストップしています。
そのような中、
大井競馬所属騎手で構成する東京都騎手会は、
日本競輪選手会東京支部に所属する競輪選手や
日本モーターボート選手会東京支部に所属する競艇選手と共同で、
募金活動を都内の主要駅で行っています。
2日(土)は新宿駅の東南口・南口で募金活動が行われました。

(写真は全て携帯電話で撮影しています)

募金活動

募金活動

募金活動

新宿の街に騎手たちや競輪・競艇選手たちの
募金を呼びかける声が響き渡りました。
23区内ではありますが、
直通バスなどが出ている訳ではなく、
大井競馬場に「地元」という感覚が薄い土地である新宿。
それでも道行く多くの人が募金に協力していました。

彼らの様子を見ながら、
ふと思った事があります。
こうして募金活動に参加している騎手たちも、
競輪・競艇選手たちも、
ある意味では今回の震災における「被災者」なのかもしれません。
もちろん地震や津波で亡くなられた方や
避難所生活を強いられている方と
同様に「被災者」という訳にはいかないかもしれません。
しかし震災後、全ての開催がストップしています。
公営競技は開催がストップすれば、
関係者には収入がありません。
これも見方を変えれば、
震災による「被害」ということが言えるのかもしれません。

しかし「生活に関わるからレース再開を」という主張だけでは、
自分たちの身勝手になってしまいます。
計画停電が行われ、
鉄道の運行本数も削減されている状況です。
様々な議論はありますが、
「自粛ムード」の影響もあります。
そんな中で彼らは競馬・競輪・競艇の再開を
多くの人に理解してもらうべく、
この事態に対して「今、自分たちが出来ること」を模索しているのでしょう。
その行動の一つが「募金活動」という形になって
現れているのではないでしょうか。

日頃、こうした公営競技を愛し、
楽しんでいる者ならば、
騎手・選手たちの行動を応援する意味でも
彼らの募金箱に少額でいいから投じるべきではないか、と考え、
私も僅かな金額ですが募金致しました。
もちろん「募金」は近所のコンビニでも出来ます。
そのお金は被災地支援という形で
使われるという意味では同じかもしれません。
それでも彼らの手を通して募金することの意味は、
彼らの存在、
そして彼らが日頃戦っている公営競技の存在を守る意味が
間接的に含まれています。
こうした公営競技ファンではない人にとっては
コンビニの募金箱と同じ価値のものでも、
公営競技ファンには別の価値があると私は信じています。

この募金活動ですが、
4日(月)はJR立川駅周辺で実施予定です。
また3日(日)には大井競馬場で
以下のチャリティーイベントが予定されています。

被災地復興チャリティー in 大井競馬場 ~今、私達にできること!~(大井競馬公式サイト)


また船橋競馬所属騎手たちも
7日(木)はJR千葉駅周辺で、
8日(金)はJR船橋駅周辺でそれぞれ募金活動を実施予定です。

千葉県調教師会・千葉県騎手会による街頭募金活動の実施の追加お知らせ(船橋競馬公式サイト)


この日、騎手・選手たちが募金活動を実施した場所から、
歩いて数分のところにウインズ新宿があります。

ウインズ新宿

貼り紙

両替所

現在、発売・払戻業務がストップし、
閉鎖されているウインズ新宿。
しかし足を止めて今後の営業予定について書かれた
貼り紙を見つめる人の姿が見られました。
またいわゆる馬券の「両替屋」の姿もありました。
皐月賞が4月24日(日)に
東京競馬場で行われる見通しである事を報じているスポーツ新聞のコピーを
掲げていたのは、
競馬開催を待ち望む気持ちの現れでしょうか。


ガード下の看板

このウインズ新宿周辺は、
週末のJRA開催日になると多くの人が集まります。
そしてそんな競馬客向けのサービスを提供する店舗もあります。
ガード下にこうした店舗を宣伝するプラカードが
横たわっていました。
ウインズが閉まっている以上、
このプラカードには何の役割もありません。

ウインズ新宿に限らず、
都内でウインズのある街には
週末だけの独特の賑わいがあります。
震災後、こうした街の賑わいは失われてしまいました。
被災して「競馬どころではない」人のことを考えると、
声高に「再開を!!」と訴えることは出来ませんが、
こうして街の活力が奪われている現状があることも事実で、
長期化すれば新たな問題を生む可能性も潜んでいるように思えます。

プロフィール

菅野一郎
(かんのいちろう・本名同じ)
「もっと競馬をやりたいな」で、
「第1回Gallopエッセー大賞(2005年)」において、
佳作を受賞。
現在、競馬読み物Webサイト
「WEEKEND DREAM」管理人を務める。
時には厳しく、時には温かく愛情を込めて、「競馬の未来」を語ります。

※「プロフィール詳細・経歴」もご覧ください

私・菅野へのご連絡は以下のメールアドレスまでお願いします。
kankan@weekenddream.jp

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