朝、盛岡に到着した時は雨が落ちていました。
しかしレースの頃には天候は急速に回復、
夏の日差しが降り注いでいました。
馬場状態ですが、
ダートコース・芝コースともに朝は重馬場でしたが、
8R以降は稍重に回復しました。
この日のメインレースは
夏のダート6ハロン戦での熱き戦い、
クラスターカップ(Jpn3)。
上位人気馬をご紹介します。
1番人気はサマーウインド(JRA)。
今年は根岸S、そして前走のプロキオンSで
いずれも2着。
昨年、道営からJRAに復帰して以降は
連を外していません。
その活躍ぶりがこのレースでも高く評価されました。
2番人気はミリオンディスク(JRA)。
6月の北海道スプリントカップを制して以来の
実戦となります。
3番人気はガブリン(JRA)。
今回は地元岩手の菅原勲が手綱を取ります。
レースはサマーウインドが好スタートを決めてハナに立ちます。
ミリオンディスク、ナカヤマパラダイス(大井)が
続く形となりました。
3コーナー過ぎから古豪メイショウバトラー(JRA)が
果敢に前に上がっていき、
4コーナーでは先頭に。
場内が一瞬どよめきました。
しかし、地力ではやはり上位人気馬の方が上でした。
直線で再びサマーウインドが
メイショウバトラーを交わして先頭に。
そのまま後続との差を広げていきます。
ゴール板を先頭で駆け抜けたのはサマーウインド。
鞍上・藤岡佑介はゴール板手前で
既に手を上げていました。
2着にミリオンディスク、
3着にメイショウバトラーが入り、
ガブリンは4着に敗れました。
レース結果(NAR公式サイトより)
勝ちタイム1分8秒9は
盛岡・ダート1200メートルのコースレコードとなります。
これまでのレコードタイムは
ディバインシルバー(JRA)が2003年の
クラスターカップでマークした1分9秒8。
この大幅なレコードタイム更新を見る限り、
このサマーウインドの勝利は完璧なものであったと
言えるような気がします。
JBCスプリントへと繋がるダート短距離戦線に
面白い存在が出現したと言えるでしょう。
ところでこの優勝したサマーウインドのオーナーは
ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン。
いわゆる「一口馬主」のクラブ法人です。
恐らく出資している会員さんの中にも
この日、盛岡競馬場に足を運んだ方が
いらっしゃることでしょう。
中には初めて盛岡競馬場に来た、
という方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、同馬とは関係なく、
このレースに出走したJRA所属の人馬を
応援に初めて盛岡競馬場へ、
というケースもあるかもしれません。
この日の岩手競馬とその関係者たちは、
果たしてこうした人達に、
「また盛岡に来たい」と思わせる取り組みを
何かやっていたでしょうか?
私にはとてもそんな取り組みが
行われているようには思えませんでした。
ただ普通に普段通りの下級条件戦が
組まれているだけの1日でした。
「未来のメイセイオペラ」が走るかもしれない
2歳馬戦もありません。
クラスターカップ以外に全く見どころのない
1日でした。
そのクラスターカップにしても
地元岩手馬の出走は僅か1頭。
(本当は2頭でしたが、
1頭は競走除外になりました)
もっとも出走していても
岩手の馬が1分8~9秒台の競馬が出来るとは
とても思えませんので、
見どころにはならないのかもしれませんが。
岩手競馬に感じられない「取り組み」の
参考例を一つ紹介します。
この前日に帯広競馬場で行われた
ばんえいグランプリの現地レポートで、
スピードスター賞、
スピードトライ賞というレースを取り上げました。
(スピードトライ賞)
(スピードスター賞)
斤量を普段のレースよりも軽くすることで、
スタートからゴールまでノンストップのレースを展開し、
その「スピード」を競い合うことを目的に考えられたレース
ではないかと思われます。
私個人はばんえい競馬というものは
スピードよりもパワーを競うものだと思っていますので、
こうしたレースの存在は少々違和感を感じます。
それでもばんえい十勝を評価しなければならない点が
あるように思えます。
そして、ばんえい競馬の新たな一面をこうしたレースによって
何とか引き出そうとしている点。
そしてその試みをお盆休みで
普段は足を運ぶことができない人たちの前で
披露している点。
主催者のチャレンジ精神を感じました。
こうした意気込みが
この日の岩手競馬関係者に
あったでしょうか?
盛岡競馬場には他の地方競馬にはない
「芝コース」という大きな武器があります。
ところがこの日、
芝コースで行われたレースはわずか1レース。
ダート主体の地方競馬において、
競走馬の新たな可能性を引き出すケースもある
芝コースでの競馬を、
岩手競馬は増やそうと取り組んだことがありました。
しかし、その取り組みは今、
どうなってしまったのでしょうか?
いつもとは異なる競馬ファン層が足を運ぶ
ダートグレードレース当日にこそ、
こうした「岩手競馬の多様性」を
見せるべきなのではないでしょうか?
もちろん、芝コースの競馬でなくても構いません。
新たなファン層を獲得できる可能性のある日に、
何らかのアピールをやっていたでしょうか?
岩手競馬の広報・広告戦略にも
疑問があります。
私のサイトは岩手では比較的、
見てくださっている方が多く、
盛岡・水沢両競馬場に行くと
岩手競馬について様々な意見を
語ってくださる方も何人かいます。
今回、あるベテランの競馬ファンの方から、
岩手競馬のPR関連のメディアに登場する
ある出演者について、
こんな不満の声を聞きました。
「血統やレースの展開等、
競馬に関して深く学ぼうとする気が感じられず、
ただワーワー騒いでうるさいだけ。
あんな情報を参考に馬券を買おう、
などという人がいる筈がない。
カネと時間の無駄だ。」
「競馬について深く学ぶ」という点については
私も人の事は言えない部分がありますので、
あまり言及しません。
しかし、この出演者がダートグレードレースや
地方競馬における交流競走の際、
相手関係も全く考えずに、
やみくもに岩手競馬所属馬を「本命」とする姿勢には
若干の違和感を抱いていました。
これが本当に「岩手競馬の応援」になるのでしょうか?
かつて「参入」を目指した日本ユニシスにまで
指摘を受けた「レースで勝とうとしない」
馬主・厩舎関係者たちを甘やかす結果になっては
いないでしょうか?
こうした内容の広報・広告展開を
資金面等で支えている企業などにとっては
満足な内容なのかもしれません。
しかし普段、競馬場やテレトラックに足を運ぶ人たちは
こうした内容に疑問を抱き始めています。
その事を当事者の方々は理解されているでしょうか?
中央競馬でも、地方競馬でも
よく議論になる話として、
「競馬は誰の為にあるのか?」
というものがあります。
岩手競馬は果たして誰の為にあるのでしょうか?
A.馬主・厩舎関係者の為
B.協賛企業・馬券発売を受託している
インターネット関連企業の為
C.競馬関連メディアを中心とする
報道関係者の為
D.馬券を買うファンの為
今の岩手競馬はBにとっては満足できる
存在となっているような気がします。
A・Cには不満もあるかもしれませんが、
それでもベクトルは彼らの方に向いているように
私には思えます。
でもDについては果たしてどうでしょうか?
A・B・C、この3つがないと
もちろん競馬は成り立ちません。
しかしDも競馬を成り立たせるには
大切な要素である筈です。
そのことが岩手県競馬組合をはじめ、
岩手競馬に関わる人達は
本当に理解出来ているでしょうか?
私はこれまで2004年の
「岩手競馬のあり方懇談会」騒動以来、
岩手競馬の存続を応援し続けてきました。
それは岩手競馬に関わる多くの人達が
「競馬存続」の為に頑張っている、
それが理由の一つでもありました。
しかし今の岩手競馬は、
当事者たちがその「存続」の為に頑張っているでしょうか?
この点に若干の疑念を抱き始めています。
また再び岩手県議会、盛岡・奥州市議会で、
存廃問題が議論され、
存続が危うくなった場合、
私はこの「岩手競馬の存続」を支持することが
出来るでしょうか?
そもそも私は岩手県民ではありませんから、
語る資格すらないかもしれません。
しかし、盛岡・水沢でお会いする方々の
様子を見ていると、
「目の前で馬が走ってくれなくても、
JRAと南関東の窓口さえあれば、それで十分」
という声が大勢になる日が来るのも、
時間の問題ではないように、
私には思えます。

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